今回は、男性の競泳水着の1つである「競パン」(競泳パンツ)について、わかりやすく解説していきます。
競パンは、競技水泳の選手だけでなく、一部の水泳ファンからも人気があります。「着てみたいけど肌の露出が多くて恥ずかしい。」「プールでの着用ルールが気になっている。」といったまだプールで競パンをはいたことのない人の疑問にもお答えしていきます。
競パンの基礎知識
競パンとは?
競パンとは、競泳パンツの略称です。競泳パンツ(通称:競パン・ブーメラン・メンズビキニ水着・Vパン)は、競泳選手が使用する水着として開発されたスポーツ用のスイムウェアです。
競パンは、ブリーフのような逆三角で体にフィットする形状なので足回りがよく、水着の生地は、水の抵抗を抑える設計になっているのが特徴です。見た目はコンパクトですが、多くの技術が詰まった高機能な水着です。
競パンは、肌の露出が多く、男性の身体のラインが強調されることから、フェティシズムの対象や自己表現の一つとして捉えられることもあります。これらは、個人的な価値観やSNS上の一部のカルチャーの話題としてよくあがる傾向にあります。
一般的な競泳水着との違い
一般的なハーフスパッツの競泳水着と競パンの大きな違いについて説明します。
競パン(競泳パンツ・ブーメラン)
足の付け根まで覆う設計。水泳では、足さばきの良さや着脱の楽さから、練習用の水着として使用されることが多いです。また、他のスポーツとしては、水球のウォーターポロとして使用されます。また見た目的な美しさから飛び込みでも使用されます。
ハーフスパッツ
太ももまで覆う設計。生地は、水の抵抗を抑える設計になっているので、水泳の競技ではハーフスパッツ型を使う選手が一般的です。
競泳水着の歴史
1996年のアトランタオリンピックでは、競泳水着は競パンが主流でした。この時の水着には、Speedoの「Aquablade」があります。こちらの動画にあるように極限までコンパクトにしている水着が多く出ていました。2000年のシドニーオリンピックで、全身タイプの水着「Fastskin」が登場しました。そしてこの後、競泳水着の歴史において、2008年の北京オリンピックは大きな転換点となりました。このとき注目を集めたのが、Speedoが開発したLZR Racer(レーザーレーサー)という全身タイプの競泳水着です。
このLZR Racerは、NASAの協力を得て開発された最先端の水着で、ポリウレタンを使用した特殊なパネル構造により、水抵抗を大幅に低減させることができました。北京オリンピックでは、この水着を着用した選手たちが次々と世界記録を更新し、98個もの世界記録が樹立されました。
しかし、この技術革新は「技術ドーピング」という議論を引き起こすことになります。結果として、世界水泳連盟(WA・旧FINA)は2010年から、競泳水着の素材や形状に関する新しい規制を導入しました。現在では、競技で使用できる水着にはWA認証付きマークの取得が必須となっています。このマークがある水着は、以下の基準を満たしていることを示しています。
- 繊維素材のみの使用(ラバーやポリウレタンなどの特殊素材は禁止)
- 男性は膝上~へそ下まで、女性は膝上~肩までの範囲のみカバー可能
- 厚さや浮力に関する制限
現在、競技水泳においてはWAの規定に沿ったハーフスパッツが主流となっていますが、競パンにもWA認証に適合した水着が販売されています。
プールでの競パン着用ルール
公共プールでの着用規定
基本的に、屋内の公共プールでは競パンの着用は問題ありません。レジャー用のトランクスタイプの水着と比較すると、プールの水質の衛生面や安全面からみても問題ありません。ただし、施設によってはドレスコードがある場合もあるので、初めて利用する際は確認してみましょう。
フィットネスクラブでの規定
スポーツクラブのプールにおいても、競パンの着用は問題なく、どちらかというと寛容です。本格的なトレーニングやフィットネスを目的として泳ぎに来ている人ばかりですので、あまり他人の水着を気にしませんし、トレーニングに集中できる環境であることが多いです。
スクールでの規定
水泳教室では、指定水着として競パンの着用が指定されていることも以前はありましたが、現在はハーフスパッツやショートボックスタイプが主流です。スクール指定の水着がないか確認し、指定がされていないようであれば競パンを選択肢に入れてもよいでしょう。
レジャープール・温浴施設での規定
こちらは注意が必要です。レジャープールや温浴施設では、競パンの着用を制限していないか事前に施設のウェブサイトや問い合わせフォームなどで確認することをおすすめします。プールの外にいる時間も長いため、重ね履き用の水着やラッシュガードを用意していくのもよいでしょう。また、夏の屋外の施設では日焼けもしますので、日焼け止めの対策などを気にかけておいたほうがよいでしょう。日焼け跡が付いても問題なければ構いませんが、しっかり焼けると焼け跡は何か月か戻りません。
競泳パンツの種類と選び方
用途別の選び方(競技用/練習用/フィットネス用)
目的に応じて選び分けるのがポイントです。
競技用は締め付けがきつめで特にコンパクトです。練習用は耐久性を重視した素材が使われています。フィットネス用の競パンはトレーニング用のラインナップに吸収されていて、現在はあまり商品がありません。スクール水着のようなシンプルな紺や黒の水着は現在も販売されています。程よいフィット感で快適です。
初めての方は、練習用かフィットネス用から始めるのがおすすめですが、価格的な差はそれほどありませんので、競技用から買ってもよいと思います。
おすすめの競パンシリーズ
競技向け高機能シリーズ
WA承認の競パンとして、以下のシリーズが人気です。
- Speedo(スピード)FLEXΣX
- arena(アリーナ)AQUA EXTREME
- MIZUNO(ミズノ) Stream ACE
機能性も高く、フィット感に優れているので気持ち良く泳ぐことができます。
練習用シリーズ
練習用モデルは、耐久性が高く、デザインもカラフルなものが多いです。フィット感は様々なので、可能であれば試着してからの購入をおすすめします。
- Speedo(スピード)ENDURANCE、Fan Piece、TurnsS
- arena(アリーナ)TOUGHSUIT、Training RIMIC
- MIZUNO(ミズノ) EXER SUITS(エクサスーツ)
競パンデビュー!はじめてのプール体験
競パン着用の心構え
競パンデビューに向けて、まずは心の準備から始めましょう。
- 「みんな最初は緊張するもの」という気持ちで大丈夫です。
- 競パンの人が周りにいなくても、プールでは競パンはめずらしくない光景です。
- 慣れるまでは、上にボックスタイプの水着を重ね履きで着用するのもアリ。
- プールに入ってしまえば、水着は直接見えませんし、泳ぎに集中すれば、自然と恥ずかしさは薄れていきます。
多くの水泳経験者が「競パンの方が泳ぎやすい!」と実感しています。最初の一歩を踏み出せば、きっとあなたも同じように感じるはずですよ。
更衣室での着替え方のコツ
競パンは、身体に密着するようにできていますので、最初は家で着用感を確認しておくとよいでしょう。
体毛が目立つようでしたら、無理のない範囲でトリミングしておくと清潔感が出せます。もちろん無理にする必要はありません。
スムーズに着替えるために、自宅で水着を着用してから服を着てプールに行くのもよいでしょう。
その際に、下着を忘れていかないように注意してください。帰りにパンツがない経験をみんなしたことがあります。
デビュー時の持ち物リスト
- お気に入りの競パン
- ゴーグル
- スイムキャップ
- タオル
- セームタオル(あると便利です)
- 耳栓(必要な方は)
- ビニール袋(濡れた水着入れ用)
- メッシュバッグ(プールでの荷物入れ用)
周りの目を気にしない方法
意外かもしれませんが、プールではほとんどの人はあなたの水着は気にしていません。
具体的なアドバイス
- 初回は空いている時間帯を選ぶ
- 早朝や平日の昼間がおすすめ
- 7~8月の夏休みの日中は混みあうので、避けたほうがよいでしょう
- 友達と一緒に行く
- 心強い味方がいると安心
- お互いの泳ぎをチェックし合えるメリットも
- 目標を持って臨む
- 「今日は25m完泳」など、具体的な目標を設定
- 泳ぎに集中すれば、周りのことは気にならなくなります
- 水泳上級者の印象を与える
- 競パン姿は「泳ぎ慣れている人」という印象
- 上手に泳げば、むしろカッコいいと思われることも
毎回、競パンで泳ぐのが当たり前になってくると、躊躇なく人前にも出られるようになってきます。泳ぎ慣れてくると、他の人から泳いでいるフォームを参考に見ていたいと声をかけられることもあるくらいです。最後に、プールに来ている人は、みんな泳ぐことに夢中です。あまり気にせずに、好きな競パンで泳いでみましょう。
まとめ:競泳パンツで快適な水泳ライフを始めよう
競泳パンツ(競パン)について、基礎知識から実践的なアドバイスまで詳しく見てきました。
競パンは、水泳をより楽しく、より効果的にするための強い味方です。最初は少し勇気がいるかもしれませんが、一度始めれば「なんだ、意外と普通だな」と感じるはずです。この記事を読んで、少しでも競パンに興味を持っていただけたなら、ぜひ試してみてください。新しいスイムライフをはじめてみましょう!